増村保造、若尾文子/『刺青』

広島のシネツイン http://www.saloncinema-cinetwin.jp/で「新藤兼人百年の軌跡」という特集が組まれており、その企画の一環として同じ系列のサロンシネマで増村保造監督、新藤兼人脚本、谷崎潤一郎原作、若尾文子主演の『刺青』(1966)が一週間の限定(19:05〜20:35の一回のみ)で上映されています。昨日は土曜ということで特別にレイトショー(21:15〜22:45)があり、飲み会の後だったのですが、なんとか上映に間に合いました。

増村監督[ http://www.allcinema.net/prog/show_p.php?num_p=7124]の映画は以前、サロンシネマで特集が組まれていたこともあり、『痴人の愛』、『偽大学生』、『妻は告白する』、『大悪党』などいくつか見たことがあります。若尾文子http://www.allcinema.net/prog/show_p.php?num_p=116594主演の作品がよく知られているわけですが、今回見た『刺青』は酔いが一気に覚めるような作品でした。映画の冒頭に若尾さんが登場するところから、スクリーンに目が釘付けになりましたね。女優のオーラが出ているといったらいいのか、最近の俳優さんたちとは比較になりません。若尾さんは現在でも、テレビや舞台で活躍されていますが、60年代に主演された映画(特に増村監督の作品)がベストではないでしょうか。若尾さんの美しさには圧倒されるしかありません。若尾さんに「抱いて」と言われたら、抵抗できませんよ。もうなんでも言うこと聞くからといって、僕になるしかないでしょう。その後に地獄巡りの過酷な旅に出ることがわかりきっているとしてもです。この映画でも死体の山が築かれるわけですが。

お客さんの年齢層は高めでしたが、パンクで尖がっている(カッティングエッジとでもいうべきか?)増村監督の映画http://www.interq.or.jp/tiger/wind/review.htmは、できれば10代後半から20代ぐらいのもっと若い人に見てもらいたいと思います。別に新しい映画だから、優れているというわけではないですし、逆にこの時代の映画を見ることによって「新しい」発見があるかもしれません。DVDも出ていますが、やはり大きなスクリーンで見るべきでしょう。終映の今週の金曜日まであと数日ですので、ぜひ映画館に足を運んでご覧になってください。800円の特別料金です。