"You're Not You"

"You're Not You"(『サヨナラの代わりに』)は重度のALS患者のケイトを中心に、介護のために雇われた大学生のベック、彼らを取り巻く家族や友人たちとの交流を軸に話が展開する。原題は直訳すると、『あなたはあなたではない』となる。病気のせいで、自分の体を思い通りに動かすことができなくなってしまったケイトは、もはや今までの彼女と同じではない。病状は日々進行し、今まで普通にできていたことが段々とできなくなっていく。彼女の精神は、この身体の不可逆的な変化を受け入れることはできない。そう、「あなたはもう今までのあなたではない」のである。このタイトルは、間違いなく身体と精神が乖離しつつあるケイトのことを指している。しかしながら、この映画で最も大きな変化が訪れるのは病魔に蝕まれて死を迎えるケイトではない。この映画を最後まで見れば、この映画の本当の主人公は、ベックだということがわかるだろう。何事も中途半端で自堕落な生き方をしているベックの人間的な成長を描いた通過儀礼がテーマであると解釈すべきかもしれない。

ベックを演じたエミー・ロッサムは『オペラ座の怪人』に出演で知られており、このミュージカル映画で、声楽の訓練を受けた鍛え抜かれた歌声を披露している。歌手としても実績もあり、現在までにCDを2枚発表している。この映画でも、ライブハウスで歌う場面があり、エンドロールではバンドをしたがえて"Falling Forward"という曲を歌っている。"Falling Down"に比べると、"Falling Forward"という表現は使用頻度がその10分の1位に落ちるが、決して不自然な表現ではない。前向きな内容の歌であったとだけは言っておこう。

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