Laraaji "Flow Goes the Universe"

ララージを最初に聞いたのは、EGレーベルから出ていた、アンビエントシリーズの第4弾としての"Day of Radiance"だったのではないかと思う。アンビエントのシリーズはあの有名な「空港のための音楽」が第一弾であり、ここから「環境音楽」("ambient music")という概念が一般的に知られるようになったように思われる。発端はブライアン・イーノ(Brian Eno)が交通事故で入院していた時の個人的な体験が基になっている。このあたりの経緯は、確信は持てないが、イーノが主宰していたObscure Records(オブスキュアレコード)から出されている"Discreet Music"のライナーに書かれてたような気がする。"Discreet Music"はテープディレーを使って作られた音楽で、特にアンビエントと銘打って発表されたわけではないが、先駆的な作品ではある。アンビエントのシリーズは以下の4作品で、他のイーノのアルバムでは"Music for Films"や"Apollo"などもアンビエントな作品といえるだろう。

Eno オフィシャルウェブサイト: http://music.hyperreal.org/artists/brian_eno/

1. Ambient 1 (1978): Music for Airports
2. Ambient 2 (1980): Plateaux of Mirror (Harold Buddとの共作)
3. Ambient 3 (1980): Day of Radience (Laraaji, Enoはプロデュースのみ)
4. Ambient 4 (1982): On Land

Brian Eno "Discreet Music"

Laraaji "Meditation #2" from "Day of Radiance"

Laraajiは1943年、アメリカのフィラデルフィア(Philadelphia)に生まれる。本名はエドワード・ラリー・ゴードン(Edward Larry Gordon)。ハワード大学(Howard University)で作曲とピアノを専攻し、スタンドアップコメディアンと俳優の道を目指してニューヨークに移り、ワシントンスクエア公園(Washington Square Park)で演奏している時に、それを耳にしたEnoにより、アンビエントシリーズ第三弾としてのデビューが決まる。他に良く知られている作品としては、All Satints Records (オーセイントレコード)から出された"Flow Goes the Universe" (1993)、オーディオ・アクティブ(Audio Active)との共作である"The Way Out Is the Way In" (1995)などがある。自身の編集する雑誌のためにインタビューした細野春臣によれば、「ヘイ、メーン」といったようなしゃべり方をする気さくな人だったらしい。

実をいうと、"Day of Radiance"はそんなに聞かなかったが、"Flow Goes the Universe"は発売当時すぐに買って、朝目覚まし代わりに毎日聞いていた。アンビエントと分類された音楽は多く出されているが、Laraajiの"Flow Goes the Universe"は個人的には、ベスト5に入るぐらいの作品であり、Enoの作品に比べて過小評価されているのが気になるところではある。それに加え、アンビエントシリーズに於いても、"Day of Radiance"のみがリマスター盤が出されていない。もっと聞かれるべき作品であり、本当に残念ことだと思う。

Laraaji オフィシャルウェブサイト: http://www.dwij.org/rising_stars/laraaji.html
Laraaji ブログ: http://laraaji.blogspot.jp/

Laraaji "Being Here" from "Flow Goes the Universe"

Laraaji "Zither Dance" from "Flow Goes the Universe"

Laraaji Live