若松孝二監督追悼特集(尾道シネマ)

現在、尾道シネマで若松孝二監督の映画が追悼特集として上映されており、前半の一週間が終了したところである。若松監督の映画は最近公開された作品を中心に何本か見てはいるが、政治的な主張を伝えるために映画というメディアを使っているのは、あまり感心しない。美術のデタラメさは特に有名で、映ってはいけない場所に電柱があったりするのは序の口。限られた予算でゲリラ的に撮影すれば、必然的にそうなってしまう。問題は映画の強度がそうしたデタラメさを凌駕するかどうかで、下手をすると観念的なお芝居に堕してしまうのは言うまでもない。

遺作となった「千年の愉楽」は、私にとっては珍しく、最初から最後まで厭きずに緊張感を持って見ることができた。少なくとも若松監督の撮った映画の中では、という意味ではあるが。中上健次の小説が原作であるということも、その理由の一つでは。

映画のサウンドトラックはハシケンと中村瑞希によるもので、何度も繰り返し奏でられる三線の旋律が不思議と耳に残った。広島のサロンシネマで、映画公開の最後の週に見たのだが、できればもう一度スクリーンで見てみたい。

2013.6.1.2シネマ尾道レポート「井浦新×大西信満若松孝二を語る!」http://www.wakamatsukoji.org/blog/2013/06/2013612.html
シネマ尾道 新着情報&上映スケジュール: http://blog.livedoor.jp/seijun_kawamoto/archives/51158787.html
若松孝二監督「千年の愉楽」公式ウェブサイト: http://www.wakamatsukoji.org/sennennoyuraku/

千年の愉楽」予告編