Bryan Ferry "In Your Mind"

1977年にリリースされたBryan Ferry (ブライアン・フェリー)のソロアルバム。これまでのソロアルバムはカバー曲中心で、ロクシー・ミュージックとは違うコンセプトで作られていたが、このアルバムは全曲オリジナルで、ある意味ロクシーのアルバムといえなくもない。ギターのPhil Manzanera (フィル・マンザネラ)、ベースのJohn Wetton (ジョン・ウェットン)、ドラムのPaul Thompson (ポール・トンプソン)はバンドのメンバーでもあるわけだし。ただしベースは固定のメンバーがおらず、ウェットンはツアー等に参加はしているものの正式なメンバーではないと思う。

このアルバム、今までのプログレ的な凝った作りではなく、シンプルなロックサウンドになっていることが高く評価されているようですが、それはちょっと違うような気がしますね。多重録音やサウンドエフェクトを多用して重厚な音作りをするのではなく、ホーンセクションやストリング等の生の楽器を要所要所に効果的に組み込んで、なるべく自然に聞こえるように丁寧にアレンジがされています。一見シンプルに聞こえるようでいて、実はかなり綿密に構築されているわけで、60・70年代のブリティッシュ・ロックの最良の部分や、アメリカのリズムアンドブルースやソウルミュージックの要素を換骨奪胎してバンドサウンドに吸収できる力量があって、このアルバムが生まれたと考えるべきでしょう。英国ロック界を代表するギタリストであるChris Spedding (クリス・スペディング) http://www.chrisspedding.com/の参加も特筆すべき点ではないでしょうか。

なんで、今ごろこのアルバムを取り上げたかというと、2曲目の"All Night Operator"が聞きたくなったからで、ここで歌われていることが、現在の私のstate of mindかもなあ、という気がしたかもしれないので、頭の中で、この曲が鳴り始めたわけ。"state of mind"といえば、アメリカにJersey jokeというのがあって、映画かドラマの中で、こういうのがありました。"New Jersey is not just a State but a state of mind." New Jersey (ニュージャージー)州はニューヨーク州の隣の州で、日本でいうと千葉、埼玉といったあたりです。これ以上の説明はしませんが、これで大体わかるんじゃないでしょうか。

さて、フェリーのアルバムに戻りますが、amazon.comのカスタマーレビューの中には初期のエレクトロニカとして評価しているものもあり、そういう聞き方もできるのかと驚きましたね。ちょっと古くなっている曲もありますが、クラブでかけても以外に違和感ないかもしれません。Craig Armstrong (クレイグ・アームストロング) http://craigarmstrong.comが影響受けているかどうかはわかりませんが、その可能性も否定できないところがおもしろいところです。それにしても、緻密に作られていたロクシーのアルバムカバーに比べて、このジャケはあまりにひどすぎるというか、買う気が失せる人もいるかもしれませんが、聞いてみて判断してもらうしかないですね。

このアルバムの中の曲"Tokyo Joe"は木村拓哉主演のテレビドラマ「ギフト」に使われており、フェリーもほんの数分ですが、出演しています。