Bill Evans "My Foolish Heart"

今日は朝から、ビル・エヴァンストリオのワルツフォーデビー(Waltz for Debbie)を聞いていました。CDでは繰り返し聞いていましたが、今回のは最近入手したアナログ盤です。このトリオのベーシストであったスコット・ラファロ(Scott LaFaro)はこのアルバムのレコーディング(と言ってもライブですが)の直後に交通事故で亡くなり、エヴァンスは1980年、ドラマーのポール・モーシャンは今年亡くなって、とうとう3人ともいなくなってしまいました。「そして誰もいなくなった」(Then there was none)というわけですね。しかし、アナログ盤を聞いていると、不思議なことに、実際に3人が目の前で演奏しているような気がしました。3人のうち、誰もこの世にいないにも関わらず。アナログ盤の方が情報量が多いというか、臨場感がありました。実際に目の前で演奏が繰り広げられているのを間近で聞いているような。そういえば、ミュージシャンでライターの湯浅学さんも、レナード・コーエン(Leonard Cohen)の新譜のアナログ盤について、NHK-FMの世界快適音楽紀行にゲスト出演した時に、同じようなことを言われていました。その後、ジャズ・ピアニストの南博さんの著書である、『マイ・フーリッシュ・ハート』(2011年、扶桑社)を読み返したりしていました。この本は南さんが、アメリカ、ボストンのバークリー音楽院から日本に帰ってきて、音楽活動を始めていくところから始まっていて、読み応えがあります。

南博トリオ "My Foolish Heart"(アルバム"Like Someone In Love"より)
ピアノ:南博、ベース:鈴木正人、ドラム:芳垣安洋

菊地成孔+南博 "Blue In Green"

午後からは外出していたのですが、携帯プレイヤーでノラ・ジョーンズ(Norah Jones)の新作"...Little Broken Hearts"をずっと聞いていました。タイトル通り失恋の歌が中心で、一曲目からそういう展開でしたね。過去の作品がウェルメイドな曲を歌うことが主眼であった作りであったことと比較すると、今回はより個人的な経験を反映した、私的な作品になっているような気がします。力の抜けた気怠い感じの声も案外魅力的だったりしますし。繰り返し聞くほどに深みにいつの間にかはまるような中毒性があるかもしれません。

Norah Jones "Say Goodbye"

Norah Jones "Will You Still Love Me Tomorrow"