Seahawks "Tender Abiss"

シーホークスhttp://seahawks77.wordpress.com/イラストレーター、ピート・ファウラー(Pete Fowler)とLo Recordingshttp://www.lorecordings.com/を主宰するジョン・タイ(Jon Tye)の二人によるユニットで、英国を拠点に、ここ数年驚異的なペースで作品をリリースし続けている。リリースはアナログ中心で、限定盤で入手困難なものもいくつかある。ファウラーがイラストレーターということもあり、ジャケットデザインのイラストなどヴィジュアル面にも強いこだわりを見せている。作品の注目度に反して、ユニットに関する情報量というか露出が少なく、謎めいたところがあったわけだが、音楽的な背景や現在までの経緯に関してはインタビューで語っているので、そちらを参照していただきたい。

インタビュー
http://www.eyescream.jp/special-all/interview/seahawks/

余談になるが、上記リンクのインタビュー記事の最後のあたりにある"Fantasy"のYouTubeの映像はブレイク・エドワーズ(Blake Edwards)監督のロマンティックコメディ、ダッドリー・ムーア(Dudley Moore)、ジュリー・アンドリュース(Julie Andrews、ボー・デレク(Bo Derek)主演の「10」(原題"10")http://en.wikipedia.org/wiki/10_(film)から取られたもので、中年の危機を迎えた売れっ子作曲家が、自分の理想とする10点満点の美女(ボー・デレク)を見かけたところから話が展開する。ありがちな設定といえないこともない。ここでの映像は彼が頭の中で彼女を夢想(fantasize)するところで、このビーチのシーンは良く知られている。

サウンドの特徴はドローンを多用した、アンビエントでシューゲイズ的なもので、実験的な要素も散見されるが、AOR的なメローなセンスも取り入れてられている。ドン・ヘンリー(Don Henley)http://www.donhenley.com/の"Boys of the Summer"のエディットをしていたぐらいでもある。

"Tender Abiss"は全編ビートレスな作品で、海の底から原初の生命が生成する瞬間に立ち会っているかのような、ゆったりとした中にも躍動感のある有機的な響きを持つ曲で構成されている。私的には、今年度前半のベストアルバムの一つであると言っていいかもしれない。

Seahawksのウェブサイトには紀元前6世紀の哲学者アナカルシスの格言が引用されている。「人間には、生きている者、死んでいる者、海にいる者の三種類がいる。」

Tender Abiss, Edit

Love On The Mountain Top

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