Until The End Of The World (夢の涯まで)

 ヴィム・ヴェンダースの映画のタイトルですね。10年ぐらい前だったかな、と思っていたら1991年の映画で、もう21年も経っているのかという事実に改めて驚くわけです。記憶の中の時間系列がどうもすっきり整理されていないみたいで、愕然としてしまいます。

 さて、この映画なんですが、かの淀川長治氏が酷評していました。そこまでいわなくても、というぐらいのことを言われていましたが、確かに傑作と言われるようなものではなかったですね。映画はテクノロジーによる「夢見の技術」に関するものと、言えばいいでしょうか。公開時に映画館でみていますが、ストーリーは覚えていません。そういえばウィリアム・ハート出てたなあ、というぐらいのことは覚えているのですが。

 なぜ、この映画について書き始めたかというと、CDの棚を整理していて、サントラのCDを見つけ、10数年(それ以上かも)振りに聞き返す機会があったからです。サントラはU2、REM、トーキング・ヘッズ、カン、ルー・リードなどの豪華な人選の楽曲が並んでおり、別段映画を見なくても十分楽しめるようなものになっていました。映画でフルコーラスでかかる曲はたぶん、U2のタイトル曲ぐらで、あとは一部しか使われなかったような気がします。ある種、クラブミュージック的と言いますか、その曲の使いたい部分だけ(例えば、イントロのところだけとか)を流すような感じだったと思います。とりあえず何曲か聞いてみましょうか。

CANのLast Night Sleepとか、Neneh CherryのMove With Me (Dub)とか、他にもいい曲はありますが、見つからないので、聞きたければサントラ探して聞いてください。中古で安く帰ると思います。

でも何と言っても、U2のタイトル曲でしょうか。アルバムAchtung Babyにも収録されてますし、ただしヴァージョンは違いますが。そう言えば、昨年同アルバムのリマスター盤が出て、かなり繰り返して聞いていました。U2はWar以降のアルバムはほぼ聞いていますが、これが一番好きかもしれません。初期のU2はプロデューサーがスティーヴ・リリイホワイトで、直情的なボノのヴォーカル、残響を排したバキバキした音の特徴的なドラムサウンド(当時のXTCのBlack Seaとかピーター・ゲイブリエルのGabriel 3とか同じぽドラムの音でした。なぜかって? プロデューサーが同一人物だからですよ)でしられていました。しかしU2はUnforgettable Fireからはプロデューサー、エンジニアにブライアン・イーノ、ダニエル・ラノアを迎え、今でいう音響的なアプローチにも近い音空間の構築を目指した方向に転換していきます。


U2ではありませんが、U2リズムセクションが参加しているエミルー・ハリス(Emmulou Harris)のアルバム、Wrecking Ballから一曲聞いてみましょう。

エミルー・ハリスは大御所のカントリー歌手なんですが、ダニエル・ラノア(Daniel Lanois)のプロデュースで、こういうアルバムをだしていたりもするわけです。Spyboyというオルタナバンド風のバックバンドと一緒にツアーをしていたこともあります。この路線、好きな人もけっこういるんじゃないかと思うんですが、どうですか?

話をサントラに戻します。全体を聞くと寄せ集めのような感じもしてしまいますが、オリジナルのスコアはグレエム・レヴェル(Graeme Revell)という人が書いていて、このテーマをチェロのDavid Darlingが弾いています。ECMから出ているアルバムCelloからDarkwoodで締めくくりたいと思います。続きはまたどこかで。