La Vie d'Adele (『アデル、ブルーは熱い色』)

長尺で濃厚なベッドシーンが話題になった映画であったが、見所はそれだけではない。人生の全てにおいて、快楽を肯定することが全面的に押し出されており、それが「食べること」や「愛すること」に対する描写に現れている。キーワードはワイン、パスタ、タバコといったところだろうか。最近の映画でこれだけ主人公がタバコを喫う場面が多いものは珍しい。愛することは精神的なものだけではなく、肉体的なものも当然含まれる。愛する対象も異性であるとは限らず、偶々同姓に惹かれることだってあるだろう。自分を異性愛者と決めつけ、そこから一歩も出てこない態度を取るということは、人生に対する可能性を狭めているという点で滑稽なことではないのか。映画の中で、子どもたちと一緒にジャンベの演奏のワークショップに参加している場面があった。世界は多様であり、その多様性に対して開かれていることが素晴らしいのだということに何度も気付かされた。