Colin Vallon Trio "Pruga"

ピアニストのColin Vallon (コリン・ヴァロン)を中心とするトリオの新作"Le Vent"が少し前にECMから発売された。2011年発売の前作"Pruga"からの曲を演奏したライブ映像が見つかったので、この記事のタイトルも前作のままである。

通常、ジャズのピアノトリオというとスタンダード中心の一般受けのするもので、美形の女性ピアニストの顔写真がジャケットの中心に位置しているというようなものが多い。疲れたオジサンが水割り片手にラウンジかどこかで、そこのオネエチャンと飲んでいる時にかかっているBGMとでもいえばいいのか。なにかこう、うまく言えないが、そういうイメージがあるわけ。東京のブルーノートあたりでも、オッサンが不釣合いなキレイなオネエさんを同伴しているというような光景を見ることができる、というか実際に見たことがある。

脱線が過ぎたかもしれない。このピアノトリオはそういうものでは全くなく、ミニマルテクノを通過した必ずしもクラブ志向ではないある種のエレクトロニカの影響を強く受けている。演奏者本人の意向はともかく、そうした文脈を押さえてその延長線上に位置する音楽として捉えるべきだと思う。フリー・ジャズによくある、鍵盤を強打するような派手なパフォーマンスはないが、ミニマルで静謐な音の連なりの中に強い(ある意味ロック的な)パッションを感じることができる。

Colin Vallon: piano
Patrice Moret: double-bass
Samuel Rohrer: drums

Colin Vallon Official Website: http://www.colinvallon.com/logicio/client/colinvallon/intro.php
ECM Official Website: http://www.ecmrecords.com/Startseite/startseite.php