XTC/Life Begins at the Hop

四月になりましたね。四月と直接関係はありませんが、XTC http://chalkhills.org/の"Life Begins at the Hop"の旋律が頭の中を駆け巡ってきました。「人生は跳躍で始まる」、ホップ、ステップ、ジャンプのホップです。XTCのアルバムでよく聞いたのは4枚目の"Black Sea"、3枚目の"Drums and Wires"にも好きな曲はいくつかあります。ファーストの"White Album"、セカンドの"Go 2"に参加していた、キーボードのBarry Andrews(バリー・アンドリュース)が抜けて、代わりにギターのDave Gregory(デイヴ・グレゴリー)が参加します。その後のアルバムからは、ビートルズビーチボーイズ等のような、いわゆる王道のポップ路線に近づき、洗練されたメロディとサウンドを志向するようになります。この方向性もそれはそれでいいとは思うのですが、やや実験的なねじれた感じのサウンドが特徴の時期の方が、今聞くとおもしろいのではないでしょうか? 「音響派」、「クラブミュージック」を経過した耳でという意味でですが。

リーダーのAndy Partridgeは"Go 2"と"Drums and Wires"の曲を音源にした、ポップで実験的なダブのソロアルバム、"Take Away"(後に"Explode Together: The Dub Experiments 78-80"というタイトルでCDとして再発売された)をリリースし、当時の日本盤の解説には坂本龍一と後藤美孝の対談が載せられていました。後藤美孝は、インディペンダントのレーベル、Pass Records(パスレコード)を主宰していて、フリクションやグンジョウガクレヨン、Phewのアルバムがここからリリースされています。アンディ・パートリッジのアルバムが、坂本龍一に"B-2 Unit"を作らせるきっかけになり、このアルバムにはアンディもギターで参加しています。ダブのリミックスはMatumbi(マトゥンビ)のDennis Bovell(デニス・ボーヴェル)http://www.lintonkwesijohnson.com/lkj-records-artists/dennis-bovell/が担当し、その後多くのクラブDJにも注目されるようになった実験的なアルバム"B-2 Unit"が完成することになったわけです。坂本は当時、B-2 Unitというバンドを組んでおり、ライブの音源はいくつか自身のラジオ番組(NHK FMサウンドストリート)で紹介しましたが、公式のアルバムは残念ながらリリースされていません。このバンドのドラムは私の記憶があっていれば、鈴木さえ子だったと思います。彼女のソロアルバム"Studio Romantic"はXTCのアンディ・パートリッジがプロデュースを担当していました。

"Take Away"から3曲ほど取り上げてみます。最初の2曲のイラストはオリジナルLP盤のアルバムジャケットで、3曲目がCDの"Explode Together"のジャケットです。2曲目の"Cairo"のヴォーカルはMhttp://www.robinscott.org/のRobin Scottみたいですが、対談でも坂本と後藤が皮肉っぽく言及していたような気がしますが、後に坂本がソロアルバムの共同プロデューサーとして、ロビン・スコットと一緒に仕事をするようになるとは思っていなかったのかもしれません。

Mの"Pop Musik"です。当時ヨーロッパを中心に大ヒットしました。この曲意外にメジャーなヒット曲に恵まれなかったせいもあり、忘れ去られてしまったようなところがありますが、今、聞いてもこのちょっと捻じれて、すっとぼけた感じの曲調は、耳に残ります。

XTCの曲をいくつか取り上げてみます。今見ると過剰な作りのような気がしますが、当時はこんな感じのプロモーションビデオを作っていたことがわかります。"Making Plans for Nigel"は名曲だと思います。プロデューサーは確か、スティーヴ・リリホワイト(Steve Lilywhite)http://en.wikipedia.org/wiki/Steve_Lillywhiteで、ノイズゲイトを使ったドラムサウンドに特徴があります。当時のU2Peter Gabrielピーター・ゲイブリエル)あたりにも使われていますね。プロデューサーのHugh Padgham(ヒュー・パジャム)がPhil Collinsフィル・コリンズプログレッシヴ・ロックバンド"Genesis"のドラマーで、Peter Gabriel脱退後はヴォーカルも兼ねる。インストバンド"Brand X"のメンバーでもあり、ブライアン・イーノのアルバム等にドラマーとして参加している)http://www.philcollins.com/の"In the Air Tonight"で使ったのがよく知られています。