Jim Jarmusch, Elvis Presley/Mystery Train

Trainというと忘れてはいけないのが、Mystery Trainですね。
これはキングオブロックンロール、エルヴィス・プレスリーによって知られることになった歌ですが、プレスリーのオリジナルというわけではありません。オリジナルという言い方は少し変かもしれません。というのもこの時代は職業作曲家、作詞家が作った曲を歌手が歌うのが当たり前の時代で、自分が作った歌を自分で歌うといういわゆるシンガーソングライターの時代まだもう少し後です。エルヴィスが作った曲ではなくても、エルヴィスが歌うことでエルヴィスの歌になるわけですね。

元々このMystery Trainはブルース・ミュージシャンのJunior Parker(ジュニア・パーカー)によって1953年に録音されました。パーカーがサンレコードのプロデューサーでオーナーでもあるSam Philips(サム・フィリップス)のために録音した歌のようです。Mystery Trainのmysteryはそのタイトルで、どこから取られたのか、わからないといわれています。Mystery TrainはParkerのビルボードR&Bチャート第5位の"Feeling Good"に続くシングルとしてリリースされたようです。プレスリーのバージョンは1955年8月20日に"I Forgot to Remember to Forget"のB面として最初にリリースされました。しかし、この曲自体がヒットしたわけではなく、ヒットしたのはA面の曲であって、'enduring song'といわれているように、よく生き延びたものだとかんがえられているようです。というのもA面の"I Forgot to Remember to Forget"はカントリー&ウェスタンのチャートでは1位を記録していますからね。
以上はhttp://en.wikipedia.org/wiki/Mystery_Trainからの参照と引用でまとめてみました。

ミステリートレインはロック評論家グリール・マーカスの著作のタイトルhttp://en.wikipedia.org/wiki/Greil_Marcusでもあります。邦訳は第三文明社より、1989年に『ミステリー・トレイン―ロック音楽に見るアメリカ像』として三井徹の訳で出版されていましたが、現在は絶版になっています。この著作でマーカスはロックンロールをハーマン・メルヴィルの『白鯨』からスコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』に至るアメリカ文化の原型(archetype)の中の文脈に位置づけて論じています。また序論で、「ロックンロールは若物文化や対抗文化(counter culture)ではなく、アメリカ文化である」と主張しています。
http://www.powells.com/blog/interviews/all-these-inches-away-from-where-greil-marcus-began-by-dave/

さてもう一つミステリートレインと言え1989年ジム・ジャームッシュの映画です。日本では工藤由紀と永瀬正敏の二人が主演しているということで話題になりました。確か工藤と永瀬のカップルがメンフィスに到着するところから始まったような気がします。公開時にたぶんサロンシネマで見ていると思いますが、細かいところはほとんど覚えていません。出演者に個性的な面々がそろっており、元クラッシュのジョー・ストラマーJoe Strummer)、"I Put a Spell On You"のヒットで有名なスクリーミン・ジェイ・ホーキンズ('Screamin' Jay Hawkins)などです。これもエルヴィスに関係のある話の映画ではあります。
http://www.jim-jarmusch.net/films/1989_-_mystery_train/
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%B3
http://en.wikipedia.org/wiki/Mystery_Train_(film)
http://www.imdb.com/title/tt0097940/

Screamin' Jay Hawkinsの"I Put a Spell On You"

Prefab Sproutのアルバム"From Langley Park to Memphis"より、"King of Rock'n Roll"