声のテクスチャー

久々にCowboy Junkies http://latentrecordings.com/cowboyjunkies/を聞き返してみる。
タワーのワゴンセールでTrinity Session (1988)が置いてあるのを見たのがきっかけで、Trinitiy Revisited (2007)を引っ張り出して聞いてみた。DVDなので見たというべきでしょうか。トリニティーセッションはカウボーイジャンキーズのファーストアルバムで教会で録音されています。Cowboy Junkiesはカナダのバンドで、ジャンル的にはカントリーロックと呼ばれたりもしますが、音の質感がどうも通常のカントリーとは違うような気がします。Hank WilliamsのI'm So Lonesome I Could CryやLou ReedのSweet Janeのカバーも収録されています。Elvis PresleyのBlue Moonもあります。発売当初は本当に良く聞きました。ここ数年の間に発売されたものは聞いていませんが、セカンドアルバムのThe Caution Horses (1990), Pale Sun Crescent Moon (1993), Lay It Down (1996)などは良く聞いたものです。段々しm普通のロックバンドっぽくなってきてしまい、それはそれで悪くないのですが、ある意味ファーストアルバムの完成度が一番高かったのかもしれません。

Trinity Revisitedはファーストの20周年を記念して、同じ教会でゲストを交えて演奏したものです。メンバーとゲストは次のとおりです。

Cowboy Junkies:
Margo Timmins
Micheal Timmins
Peter Timmins
Alan Anton

Musical Guests:
Ryan Adams
Jeff Bird
Vic Chesnutt
Natalie Merchant

CDも付いていますが、DVDで映像を見るべきでしょう。
ところで、このグループの何に惹かれるかというと、それは紛れもなくMargo Timminsの声なんですね。歌と書かなかったのは歌唱能力とか表現力というよりもむしろ声の肌理、質感(texture)といったものではないかと思ったからです。少し低めで、落ち着いた雰囲気の成熟した大人の女性の声。力強くはあるが決して押しつけがましくはなく、静かに共振する声。時々、この世とあの世の間から発せられるような声だなと思うこともありますが、ちょっと考えすぎかな? 音楽はメディア(媒体)と呼ばれることがありますが、mediumというと霊媒という意味もあります。そう考えると、音楽はこの世とあの世をつないでいる媒体と言えなくもないわけです。「生まれる前のことを考えてみれば、死ぬことは怖くない」と誰かが言っていましたが、死を断絶と考えるのではなく、生と死は緩やかに繋っているのかもしれません。年齢には関係なく、死は突然訪れてきますから。昨日のDommuneで、吉田豪杉作J太郎が対談をしていましたが、途中から杉作さんが、先日火事で亡くなったライターの川勝正幸さんの追悼を言い出したりして、ちょっとシリアスな感じになってしまいました。昨年度はAmy Winehouseが20代、レイハラカミが40代で亡くなったりして、いろいろと考えさせられます。早いか遅いかという違いはありますが、誰にでも死は訪れます。

人生最後の瞬間に聞きたいのはMargo Timmins、あるいは彼女に似た質感の声ですね。ちょっとかないそうにない望みではありますが。

最後にCowboy Junkies、何曲かアップしておきます。
明日はWednesday morningでTuesdayではありませんが、目覚めの良い朝を迎えてください。