大島直行「月と蛇と縄文人−シンボリズムとレトリックで読み解く神話的世界観」

所用のため、東京に来ており、夕方新宿駅南口の紀伊国屋に立ち寄って洋書売場に行き、それから人文書のコーナーを見て回り、3階のコーヒーショップの横を通って外に出ようとした時のことである。何やらイベントのようなものをやっていて、ちょっと立ち止まって聞いてみた。「縄文土器の縄は実は蛇なんです。」  ??? 何だ? 本の販促のトークショーのようであった。予定外ではあったが、なんとなくおもしろそうなので最後まで聞き続けた。ミルチア・エリアーデカール・グスタフユングに関する言及があり、縄文人は現代人のように生活の大部分が合理的な思考に支配されていたわけではなく、神話的な思考に重きを置いていたこと。そのように考えれば土器の形状や住居の構造等をうまく説明することができる。というのが大島氏の著書(2014年,寿郎社)での主張であるらしい。トークの後、質問をする機会があり、「主張はおもしろいのだが、反証可能性に乏しいので科学的とは言えないのではないか? 実証性に欠けると考えられるが、その点はどう考えているのか?」と尋ねた。答えは「フロイトユングの考えは最近の脳科学の成果によって実証されつつある。」ということで、詳細は実際に本を読んで確かめるしかないようだ。

寿郎社ウェブサイト: http://www.jurousha.com/
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