Micheal Cimino "Heaven's Gate" (マイケル・チミノ「天国の門」)

天国の門」は膨大な予算をかけて制作された映画で、公開当時批評家による酷評のせいもあって大コケし、そのため制作会社であるUA(United Artists)を倒産させてしまったという不幸な来歴がある。今年度日本で公開されているのは最新リマスター版であり、今時の映画には見られないスケールの大きな映画館で見るべき映画の一つといえる。この映画を最初に見たのは確か学生時代にビデオレンタルであったと記憶しており、それなりに面白かったとは思ったのだが、特に強烈な印象を残したわけではなかった。しかし今回、大スクリーンで見直してみて、数百、数千人にも及ぶエキストラや実際に隅々まで丁寧に作られた街のセット等々、現在のCGが主流の映画ではもはや見ることのできない映画らしい映画だったということがよくわかった。メイキングの番組で出演した俳優たちが語っているように、チミノ監督は完全主義者で、納得いくまで20回を超えるテイクを撮ったとか、数百人のエキストラの配置を決めるだけで何時間もかけたとか、すさまじいエピソードが次から次に出てくる。チミノは前作の「ディア・ハンター」が当たったことや、プロデューサーが彼の友人だったため、予算面で駄目だしをする人物がいなかったことも製作費が高騰した理由の原因とされている。上映時間も長いし、型破りな作品ではあるのだが、批評家たちがこぞって酷評するようなひどい映画ではないので、もう映画館で見る機会はないかもしれないが、できるだけ大きな画面で見てもらいたいと思う。

Official Trailer (Final Cut Version)

The Making and Unmaking of "Heaven's Gate"