溝口健二 『雨月物語』

文化庁主催の平成24年度優秀映画鑑賞事業のAプログラムとして、溝口健二監督の『山椒大夫』(1954年)、『近松物語』(1954年)、『西鶴一代女』(1952年)、『雨月物語』(1953年)がサロンシネマで順次公開されました。今回は未見の『西鶴一代女』と『近松物語』を見ることができました。『西鶴一代女』は2時間を超える作品で、主人公が仏像を見ながら、昔の男を思い出すところから始まるわけですが、諸行は無常といいますか、これでもかというぐらいに次から次に不幸が降りかかるわけです。それでもなんとか最後まで耐えられるのは、映画が細部に至るまで丁寧に作られているからで、その空気感というかアウラとでもいったものが漂っているからではないでしょうか。さすがに見終わるとぐったりしてしまうわけですが、充実感がありました。個人的には、『近松物語』の方が好きですね。ラストシーンで不義密通の罪で処刑台に向かって引っ張られていく二人の顔の清々しさが強く印象に残ります。

さて、『雨月物語』、もう一度見たいとは思っていたのですが、日程が合わなくて断念しました。
さきほど、空を見たら、月に靄がかかっているように見えました。

溝口健二関連ウェブサイト
溝口健二―人と作品: http://www.fsinet.or.jp/~fight/mizoguchi/
Kenji Mizoguchi Senses of Cinema: http://sensesofcinema.com/2002/great-directors/mizoguchi/