Diana Krall "Glad Rag Doll"

Diana Jean Krall (ダイアナ・ジーン・クラール)はカナダ出身のジャズ・ピアニスト、歌手で、最近11枚目のスタジオ・アルバムである"Glad Rag Doll"を発表した。前作までは、Tommy LiPuma (トミー・リピューマ)のプロデュースで、ジャズのメインストリームに位置するヴォーカルアルバムをリリースしていた。今回はプロデューサーにT-Bone Burnett http://en.wikipedia.org/wiki/T-Bone_Burnettを従え、バックのミュージシャンもギターのMarc Ribot (マーク・リボー) http://www.marcribot.com/を始め、クセのあるメンバーを揃え、1920,30年代の曲を再現するという方針の元で制作された。プロデューサーのBurnettやバンドメンバーは、現在の夫であるElvis Costello (エルヴィス・コステロ) http://www.elviscostello.com/の人脈によるものと思われる。

このアルバムはファンの間で評価が分かれ、旧作までの路線を支持していた「守旧派」ジャズヴォーカルを支持する人の間では極めて評価が低く、アマゾンのカスタマーレビューの中には「ファンに対する裏切り」と断ずるものさえあった。これは日本だけではなく、アメリカのamazon.comのカスタマーレビューにも同じ傾向が見られた。別に声や歌い方が極端に変わっているわけではなく、取り上げている曲とバックの演奏が違うだけなんですが。少し、方向が変わっただけで、これだけ反感を買うのか、という驚きもありました。もちろん、この路線転換を好意的に捉えている人も多くいて、ルーツミュージックとかブルースに影響を受けた60年代のブリティッシュ・ロック、あるいはThe Band (ザバンド)あたりが好きな人にはお薦めです。ジャケットの本人の艶めかしいカットも、今までとは違うよ、という意気込みが出ていて、これもいいのではないでしょうか。ピーター・バラカンさんが某FM放送の番組で、「刺激的なジャケット」と言っていましたが、ラジオではそれ以上の表現はさすがに無理でしょうね。日が暮れてから夜にかけて、部屋でゆっくり聞くのがいいでしょう。

Diana Krall Official Website: http://www.dianakrall.com/