The Futures So Bright I Gotta Wear Shades

Timbuk3の1986年のヒット曲です。
アイロニカルなタイトルとすっとぼけた感じが、80年代ぽい気がしますが、以外に2010年代現在の状況に合っているかもしれません。"The futures so bright I gotta wear shades"(「未来は明るすぎるので、サングラスかけなくちゃ」)


最初の映像はプロモビデオで当時よく流れてましたね。全米の主要な大学には学内にFM局があり、そこでのオンエア回数を基に独自のヒットチャートが作られるわけですが、これはカレッジチャートと呼ばれています。一般にアメリカのヒットチャートというとビルボードチャートのことを指しますが、カレッジチャートは学生が好みそうなポストパンク、オルタナバンドなどが上位に来る傾向があります。例えば、The Smiths, New Order, Pixies, Sonic Youthなどです。一般にアメリカでのヒットチャートというとビルボードチャートを指すわけですが、Timbuk3の"The Futures So Bright I Gotta Wear Shades"はビルボードの19位にランクインし、グラミーのベスト新人アーティストのビデオ部門にノミネートされました。

The Futures So Bright...はファーストアルバムに収録されています。その後定期的にアルバムをリリースしていきますが、ヒット曲はこの曲だけで、カレッジステイションなどでそれなりの支持を集めてはいたものの、売上はそこそこといったところだったかな。Pat&Barbara K.MacDonald(パット、バーバラ・マクダナル)の夫婦を中心に活動していたバンドは1996年に解散し、その後二人は離婚し、現在では別々に活動しています。このあたりの経過についてはPat公式HPのインタビューhttp://www.timbuk3music.net/index.htmで語っています。

解散直前はPatの書く曲がバンドの方向性とかけ離れていたり、何も新しいことができなくなってしまったりして、袋小路に入ってしまったようです。ライブ中は(前日と当日は、アルコール、ドラッグ、セックスは禁止だったそうで)、かなりクリーンでしたが、最後のツアーでは酒浸りになってしまったと言っています。

当時、ファーストアルバムから聞き始めたのですが、一番良く聞いたのがセカンドアルバムで、その中の"Easy"が私のベストトラックですね。Barbaraの歌う"...It would be easy,easy as falling down"とフレーズが耳に残ります。気怠い感じで、クールなんだけれど、完全に突き放すわけでもなく、沁みこんできます。他にもいい曲はありますが、タイトルは皮肉っぽい感じのものが多いかな。"Too Much Sex, Not Enough Affection", "Sinful Life", "Little People Make Big Mistakes"とか。

"Sinful Life"は「罰当たり人生」とでも訳すべきなのでしょうか。80年代アメリカではテレビ説教師(Televangelist)というキリスト教保守派の説教師がよくテレビに出て、視聴者に寄付を募ってました。誰でも、生きていれば、大なり小なり後ろめたいところがあったりするわけで、そこをうまくついて、このままでは地獄に落ちますよ、と言って脅すわけですね。救われたかったら、次の口座に振り込みなさい、と言って、貧乏人から合法的に金を巻き上げるわけです。みんな死んだら、天国に行きたいわけですから。しかし、当のテレビ説教師たちは道徳的に優れているかというとそうでもなく、愛欲まみれ、クスリまみれのスキャンダルが噴出していました。「悪魔にそそのかされて、罪深いことをしてしまいました。神よ、我を許したまえ」とか言って懺悔してしまえば許されるわけですから、ほんと、いい商売だなあと思いました。次の映像は、テレビ説教師のスキャンダルを報じた番組の一部です。

英語がわからなくても表情を見ると、何のことなのかわかると思います。

最後にティムバック3の曲でしめくくります。セカンドアルバムのGreetings From Eden Alleyからです。
実は最近、中古レコード店でファーストとセカンドのLPをかなりの安値で購入しました。80年代後半はCDが出始めた時期ですが、この頃のCDはマスタリングがまともにされていないものが多く、概して音があまり良くないんですよね。悪い意味でデジタルっぽい音というのか、耳障りが悪く、聞いていて疲れます。さすがにLPで聞くと、そんなことはないし、なによりセカンドはジャケットのデザインも気に入っています。